記事: 【Portrait of a Barista】山岸龍之介 / 学芸大学店
【Portrait of a Barista】山岸龍之介 / 学芸大学店
ウッドベリースタッフのオリジンや内面に迫る「PORTRAIT OF A BARISTA」
今回は学芸大学店の山岸さんに、6つの質問を答えていただきました。
Q1 生まれ育った街について教えてください。
埼玉県の秩父市に生まれました。いまでは観光地として栄えていますが、自分が育ったころはまだ山に囲まれた田舎町の雰囲気でした。いまは映画館やショピングセンターができたり、たまに地元に帰ると知らないお店が増えていて驚きます。
名物のお蕎麦を食べにくる海外の方も多く、いつか自分も地元でお店を開けたらいいなと思うようになりました。
Q2 バリスタを目指したきっかけは?
じつはコーヒーに出会う前は、とくに趣味ややりたいことがなかったんです。でも、大学生のころにイギリス留学をして、向こうで出会った友だちにいろんなお店に案内してもらったのですが、そのときに飲んだコーヒーが美味しくて、自分の人生が変わったように感じたんです。それから東京のコーヒー屋さんにも行くようになり、「もしかしたらバリスタの人たちみたいになったら、自分にもやりたいことが生まれるのかもしれない」と、地元のチェーン系カフェで働きはじめたのがきっかけですね。
卒業後はいちどブライダル系の会社に就職したものの、系列の居酒屋で働くことになり、そこでの働き方が自分に合わなくて身体を壊してしまったんです。それでコーヒー屋さんの仕事を探していたときに、ウッドベリーで働いているスタッフの方と知りあって、話したりお店に行くようになって応募したかたちです。いまは二、三年前に目指していた姿に自分がなることができて、やりがいしかありません。お客様とも距離が近いお店なので、毎日すごく楽しいです。
Q3 好きなコーヒー豆を教えてください。
最近販売されたエクアドル/クルス・ロマ農園ゲイシャ種ウォッシュドは、ハッとするような味わいで、人生のなかでいちばん美味しいと思えるようなコーヒーでした。もともとわかりやすいフレーバーをもったコーヒーが好みなので、クルス・ロマはジャスミンやマスカットのようなはっきりとした華やかなフレーバーをもっていて、かつ、すっきりと飲みやすくて大好きでした。コーヒーにそれほど興味がない人でも、すぐにちがいがわかるようなコーヒーだと思います。ハンドドリップで淹れて、熱い状態からコーヒーが冷めてゆく時間を楽しんでほしいなと思います。
Q4 いまハマっているカルチャー(本や音楽、映画など)を教えてください。
友だちに誘われて新宿の「ルミネ the よしもと」に行ってからお笑いにハマっています。それまでもテレビでお笑いをみるのは好きだったのですが、劇場でみてみたら終始笑いが止まらなくて、ストレスや疲れがぜんぶ吹き飛んだ感じでした。とくに大御所の方々は劇場でみると迫力がすごくて驚かされましたね。それからは、YouTubeでお笑いをみるのが、ほとんど日課のようになっています。
人を笑顔にするという意味ではバリスタも同じなので、芸人さんから学ぶこともあります。コーヒーの味も大切ですが、人と会話しながら飲むコーヒーって美味しいじゃないですか。だから会話にちょっと笑いを混ぜてみたり、人柄がみえたりすると楽しいだろうなと思うようになりましたね。
Q5 最近食べて美味しかったものを教えてください。
最近食べたものではありませんが、地元・秩父には「わらじカツ」というB級グルメがあって、自分が大学生のころに働いていた「粉もん屋らくぞう」のわらじカツが、人生最期の日に食べたいくらい大好きです。
わらじカツ自体は小さいころから食べていたのですが、じつはそんなに美味しいと思ったことはなかったんです。でもそのお店のわらじカツは、弟子にしてほしいと思うくらいの美味しさなんですよね、上手く表現するのが難しいのですが、甘めでさっぱりとした醤油だれにつけられたカツが中毒性があるんです。カツも一枚がものすごく大きくて、店主さんは舌が肥えた方でお肉にもすごくこだわっているので、秩父を訪れる機会があったらぜひ食べてみてほしいです。
Q6 これからの未来のためにしていることは?
イギリスでコーヒーに出会ったとき、衝動に駆られるような、すごく新しい発見があったんです。その感覚を、これから出会うお客様や自分のまわりの人たちにも広めていきたい、共有していきたいと思っています。
とくに自分はそれまでやりたいことを見つけられない人間だったので、コーヒーに限らず、なにかを追究するおもしろさを人に伝えていきたいという想いが強いんです。
そのためにまず自分ができるのは、お店で「いつも飲んでいるコーヒーとちょっとちがうな」と思っていただけたお客様に、その小さな興味をひろげられるよう、手助けをすることかなと思っています。ただ「美味しい」で終わるだけじゃなくて「どうして美味しいのか」と深掘りしたくなるような、より豊かな経験をしてもらえるように接していきたいと思っています。