【Portrait of a Barista】菊池希 / 渋谷店
ウッドベリースタッフのオリジンや内面に迫る「PORTRAIT OF A BARISTA」
今回は渋谷店の菊池さんに、6つの質問を答えていただきました。
Q1 生まれ育った街について教えてください。
岩手県の北上市です。中心部から離れたところで、電車が二時間に一本しかなかったり、休日に家族で車で小さなショッピングセンターに行くだけでもワクワクしたり、いまでは考えられないような生活をしていましたね。まわりは田んぼと山ばかりののどかな町で、祖父から蛍のことや田植えの仕方など自然とのかかわり方をたくさん教わりました。いとこが遊びにきたときに祖父が竹馬を竹を切るところからつくってくれて遊んだことがとくに記憶に残っています。自然のなかなのでそれなりに怪我もしますが、楽しかったですね。
高校を卒業してからは、宮城県の仙台市にある保育士の専門学校に通い、就職を機に上京しました。東京は学べることも遊ぶ場所もたくさんあって、地元とは全然ちがいます。いろいろな考え方をもった人がいて、チャレンジ精神に溢れているという意味では、東京の価値観は自分に合っていると感じます。
Q2 バリスタを目指したきっかけは?
高校の部活終わりや休日に母と一緒にカフェに行っていたこともあり、専門学校に入学してから仙台のヴィーガンフードを中心としたカフェでアルバイトを始めました。コーヒー専門店ではありませんでしたが、カフェラテやハンドドリップを淹れるのが好きで、もっとコーヒーについて学びたいと思ったことが大きなきっかけだったと思います。接客や常連さんとお話しすることも楽しく、カフェという空間が好きでした。
ただ、保育士になる夢もあったので、一度は東京で保育士の職に就いて、土日にカフェ巡りをするようになりました。そのなかでウッドベリーの代官山に行ったときにホスピタリティの高さに感動して、一緒に働いてみたいと思って転職することにしたんです。
カフェ巡りしていたとはいえコーヒー豆の知識はほとんどなく、スペシャルティコーヒーを意識したのもウッドベリーに入ってからでした。最初は味がぜんぜんわからなくて、先輩からフィードバックをひとつひとつもらいながら豆のテイストについて学んでいきました。仙台のカフェで働いていたときからマシンに触るのも好きだったので、エスプレッソの抽出も毎日学ぶことがあって楽しいです。
Q3 好きなコーヒー豆を教えてください。
エチオピア/ベンチ・ネンカのナチュラル・アナエロビックが、お客様に浅煎りのおすすめを訊かれたときは必ず最初に紹介するくらい好きなコーヒーです。ストロベリーやクランベリーのような、赤い甘みのある果実感が印象的なお豆です。アナエロビック・プロセスの華やかな味が個人的に好きなのですが、ベンチ・ネンカはそのなかでも長期間の嫌気性発酵がおこなわれていて、だからこそよりフルーティーさが際立った特徴的な味をもっていると思います。ホットのハンドドリップで飲むと、後味の酸味がより活きて美味しく感じられます。
Q4 いまハマっているカルチャー(本や音楽、映画など)を教えてください。
最近、池尻大橋に引っ越したので、池尻大橋から中目黒あたりを散策して、飲食店やカフェを巡ることにハマっています。会社勤めの方よりもアパレルや飲食店、自営業で働いている方が多く、個性的な街という印象があります。
中目黒にある「風見堂」という「ひとり呑み」を推奨している居酒屋によく行くのですが、みんなひとりだからこそ、カウンターでお客さん同士で話すことも多く、最終的にはお店全体で話していることもあって。わたしもお店の方やお客さんと話をするのが好きなので、そこで仲よくなったり、知り合った人のお店に行ったり。そういう空間・コミュニティのなかで時間を過ごすのが楽しいです。
Q5 最近食べておいしかったものを教えてください。
それこそ池尻大橋にあるOMAというお店で飲んだ「深夜のラムチャイ」です。もともとチャイの甘さとスパイス感が好きで、チャイラテもよく飲むんです。「美味しいチャイのカクテルがあるよ」といわれて頼んでみたのですが、独特なスパイスの味と、最後の味つけで加えられた黒コショウ、ラムのまろやかな口当たりの組み合わせがとても美味しかったです。
Q6 これからの未来のためにしていることは?
コーヒーをとおしてよりよい暮らしを送っていただくために、お客様ひとりひとりと向きあうことを心がけています。渋谷店ではカウンターでお客様とお話しできるので、コーヒーのことはもちろんですが日常的な会話も積極的にするようにしています。ほかにも、挨拶やお店をお出かけの際のお見送りなど、小さなことでもお客様の生活の質を上げることができる。それがわたしたちの仕事であり、お役に立てることだと信じています。そして、一緒にコーヒーを楽しんでいただければ、それがよりよい未来をつくることにつながるのではないでしょうか。