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記事: 【Portrait of a Barista】今川 俊一郎/ 荻窪店

【Portrait of a Barista】今川 俊一郎/ 荻窪店

【Portrait of a Barista】今川 俊一郎/ 荻窪店

ウッドベリースタッフのオリジンや内面に迫る「PORTRAIT OF A BARISTA」
今回は荻窪店で焙煎士を務める今川さんに、6つの質問を答えていただきました。

 

  

Q1 生まれ育った街について教えてください。

神奈川県の南足柄市、金太郎のふるさととしても知られている町で生まれました。神奈川県というと湘南や横浜のような賑やかなイメージをもつかもしれませんが、南足柄市は箱根や静岡県に接している山間部で、静かな町です。小田原のような大きな街も隣にあって、新幹線をつかえば東京駅にも30分程度で着くため、都会へのアクセスもよく暮らしやすいところでした。

両親が陸上競技をやっていた影響で、わたしも子どものころからマラソン大会に出させられていました。小中高と陸上競技ひとすじで育ち、小田原の海にも練習以外で行った記憶がないほどです(笑)。砂浜でたくさんダッシュをしましたね。



Q2 バリスタを目指したきっかけは?

祖母が点ててくれた抹茶や母が淹れてくれたコーヒーのように、嗜好品として飲みものを楽しむ文化は幼いころから身近にありましたが、本格的にコーヒーにハマったのはコロナ禍のころでした。当時は新卒で入った会社の社宅に住んでいました。練馬区の自宅から出ることもできず暇を持て余していたときに、特別定額給付金でコーヒー用具を一式揃えたことがきっかけで深みにハマっていきました。

徐々に外出できるようになってからコーヒー屋さんを巡るようになり、カフェ文化そのものに惹かれて転職しようと決めました。そんなときに訪れたウッドベリーの用賀店で、前回インタビューを受けていた井川(鉄平)さんのホスピタリティ溢れる接客にすごく感銘を受けて応募しました。

今年の5月に部署を異動し、いまは焙煎製造部に所属しています。焙煎は一回一回が真剣勝負。一度の焙煎で20kgの豆を焼くため、とくに始めたてのころは失敗したらどうしようと毎回緊張しっぱなしでした。

 



Q3 好きなコーヒー豆を教えてください。

品種でいえばゲイシャ種がとくに好きで、その気持ちは焙煎部に移ってからより強くなりました。コーヒー豆は焙煎過程で一回爆ぜたあとにすごく香りが出てくるのですが、ゲイシャ種はとくにフローラルでフルーティーないい香りがして、焼いているときにいちばんテンションが上がります。

まだ私自身は焙煎したことはありませんが、ゲイシャ種のなかでもボリビアのアグロ・タケシ農園のゲイシャ・ピーベリーは格別でした。アグロ・タケシ農園はとても標高が高い場所にあり、コーヒーノキがゆっくり育つため栄養が蓄えられて特徴的な味わいに仕上がるそうです。ラベンダーのようなフローラルな印象だけでなく、ペッパーのようなスパイス系のニュアンスやパイナップルのようなトロピックな印象をもっていたことが、とくにユニークな点でした。さまざまなフレーバーが複雑に感じられるおいしいコーヒーでした。

 

Q4 いまハマっているカルチャー(本や音楽、映画など)を教えてください。

陸上競技をやっていたこともあって、スポーツ観戦が好きです。陸上だけでなく、ボクシングや海外サッカーなど、スポーツ専門メディアのサブスクに登録して頻繁に観ています。毎試合、選手たちが真剣に一発勝負に挑むなかで、筋書きはないけれどドラマチックな展開が生まれるのがスポーツ観戦の魅力です。そうした選手たちの姿は、どこか焙煎にも重なる部分があると思っています。焙煎も日々の積み重ねがその場で出せるかの一発勝負なんだという思いで、真剣に挑んでいます。


Q5 お店の気に入っているところを教えてください。

お店に入ったとき、正面に大きな焙煎機が見えるところが好きです。入社する前から、そのインパクトある光景にワクワクしていたので、いま実際に自分がそれを触って焙煎しているということは感慨深くもあります。あのころの自分に言っても信じてもらえないんじゃないかなと思います。

現在使っているLoring S35 Kestrelという焙煎機は、とても環境に優しい設計がなされた焙煎機です。ウッドベリーの「コーヒーで地球をよりよくする」という理念にぴったりとあっていて、とても愛着をもっています。

 

Q6 これからの未来のためにしていることは?

いまはとにかく「おいしいコーヒーを焼くこと」です。スペシャルティコーヒー自体がもっと盛りあがってほしいと思っているので、そのためにより多くのひとにおいしいコーヒーを飲んでいただきたい。その一心で焙煎に取り組んでいます。ひとりでも多くの方にコーヒーを楽しんでいただいたり、業界に興味をもってもらえるようなひとを増やしたり、コーヒーをとおして感動を伝えることでよりよい文化を醸成してゆくことができればと思っています。

オリジナルマガジン "Pneuma" ISSUE15 より抜粋

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